この記事では、「アキバ・テックドリーム・アカデミー」(以下、テクドリ)の運営企業に所属する現役エンジニアが、プログラミング初心者の方に向けて「オブジェクト指向」について解説いたします。
オブジェクト指向とは
オブジェクト指向とは「特定の役割を持つモノ(オブジェクト)」ごとにシステムを部品化し、それぞれのモノ同士の関係性を定義することでシステム全体を構築する考え方です。
抽象的で、プログラミング初心者には難しく感じるかもしれません。そこで、「飛行機の製造」を例に説明します。
飛行機には「揚力を生む翼」「エネルギーを生み出すエンジン」「地上を移動するためのタイヤ」といった、特定の役割を持つ部品(オブジェクト)の集まりで構成されています。これらの部品を設計図に基づいて作り、それぞれを組み立てることで最終的に飛行機が完成します。
オブジェクト指向も同様に、役割を持った部品(オブジェクト)を組み合わせてシステムを作り上げます。この手法は特に規模の大きなシステムを設計・開発する際に有効です。
オブジェクト指向の考え方を理解することで、効率的で柔軟なシステム設計が可能になるので、ぜひ身につけていきましょう!
代表的なオブジェクト指向の言語
代表的なオブジェクト指向の言語として下記があります。
- Java
- JavaScript
- Python
- Ruby
オブジェクト指向の基本概念
では、オブジェクト指向とは具体的にどのような概念なのかご説明します。
主な概念としてはこの4つがあげられます。
- カプセル化
- 継承
- 抽象化
- ポリモーフィズム
カプセル化
「カプセル化」とは、データとその操作を一つの単位(カプセル)にまとめ、外部から直接アクセスできないように制限する仕組みを指します。
プログラミング用語で説明すると、データにはクラスのメソッドを通じてのみアクセスでき、直接操作できないようにすることで、オブジェクトの内部状態を保護します。
この仕組みにより、データの安全性が高まり、プログラムの保守性が向上します。
継承
「継承」とは、既存のクラス(親クラス)から新しいクラス(子クラス)を作成し、親クラスの特徴や機能を引き継ぐ仕組みを指します。
たとえば、「飛行機」という親クラスがあるとします。この親クラスを基に「A社製の飛行機」や「B社製の飛行機」といった子クラスを作ることで、飛行機としての共通の特徴を引き継ぎつつ、それぞれに独自の特徴を追加できます。
継承を活用することで、コードの再利用性が高まり、重複を減らすことができます。その結果、プログラムの保守性が向上し、効率的な開発が可能になります。
抽象化
「抽象化」とは、複雑なシステムを簡潔にまとめ、本質的な要素だけを抽出する手法です。この手法により、プログラムの設計がより理解しやすくなり、保守性の向上にもつながります。
プログラミングの観点では、抽象化とは共通する特性や動作を「抽象クラス」や「インターフェース」として定義し、それを具体的なクラスで実装する方法を指します。
たとえば「飛行機」という抽象クラスを考えてみます。このクラスには「翼で飛ぶ」や「タイヤで走る」といった共通のメソッドが定義されており、これを基に「A社製の飛行機」や「B社製の飛行機」といった具体的なクラスがそれぞれ詳細な動作を実装します。
抽象化を活用することで、システム全体をより大きな視点で捉え、複雑なプログラムを整理しやすくなります。
ポリモーフィズム
「ポリモーフィズム」とは「拡張化」とも呼ばれ、継承を活用してオブジェクトの動作を変更しながら再利用できる仕組みを指します。
この特性により、同じ名前のメソッドでもオブジェクトごとに異なる動作を定義でき「拡張性」に優れた設計が可能となります。
たとえば、「飛行機」という抽象化された親クラスに「翼で飛ぶ」というメソッドがあるとします。このクラスを継承した「A社製の飛行機」や「B社製の飛行機」のクラスでは、それぞれの「翼で飛ぶ」メソッドを独自に実装できます。「A社製の飛行機」は「A社製の翼で飛ぶ」、「B社製の飛行機」は「B社製の翼で飛ぶ」というように独自に設定できるのです。
このように、ポリモーフィズムを活用することで、コードの再利用性が高まり、柔軟かつ効率的なプログラム設計が可能になります。
オブジェクト指向のメリット・デメリット
オブジェクト指向のメリット
オブジェクト指向のメリットは下記の通りです。
- コードの保守性
- 再利用性
- 柔軟性
- 複雑さの軽減
コードの保守性
カプセル化によりオブジェクトが保護されるため、データの安全性が高まり、プログラムの保守性も向上します。
再利用性
継承を利用することで、既存のクラスから新しいクラスに機能を引き継げるため、コードの再利用が容易になり、重複を減らすことができます。その結果、保守性や開発効率が向上します。
柔軟性
ポリモーフィズムにより、既存のクラスの要素の変更や新機能の追加が容易になるため、柔軟なプログラム設計が可能となり、コードの拡張もしやすくなります。
複雑さの軽減
抽象化を使うことで複雑なシステムをシンプルに設計できるため、プログラムの設計や修正が容易になります。
オブジェクト指向のデメリット
オブジェクト指向のデメリットは下記の通りです。
- 小規模なシステムには不向き
- パフォーマンスへの影響
小規模なシステムには不向き
オブジェクト指向の強みは、保守性や柔軟性の向上ですが、小規模なプロジェクトやシンプルなシステムでオブジェクト指向を採用すると、逆に複雑になり扱いづらくなることもあります。
パフォーマンスへの影響
オブジェクト指向を用いたプログラミングでは抽象化やメソッド呼び出しが多くなるため、大量のオブジェクトを生成・管理する場合、メモリの使用量や処理速度に影響が出ることがあります。
これにより、リアルタイムシステムや高パフォーマンスを要求されるシステムには不向きなことがあります。
まとめ
オブジェクト指向について解説いたしました。
オブジェクト指向とは「特定の役割を持つモノ(オブジェクト)」ごとにシステムを部品化し、それぞれのモノ同士の関係性を定義することでシステム全体を構築する考え方です。
オブジェクト指向の基本概念として、下記があります。
- カプセル化
- 継承
- 抽象化
- ポリモーフィズム
オブジェクト指向のメリットとして、下記があります。
- コードの保守性
- 再利用性
- 柔軟性
- 複雑さの軽減
オブジェクト指向のデメリットとして、下記があります。
- 小規模なシステムには不向き
- パフォーマンスへの影響
プログラミングを学ぶ上で、オブジェクト指向について理解を深めておくことは、とても重要です。
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