フレームワークとは
Frameworkとは、日本語では「枠組み」、「骨組み」、「骨格」、「構造」、「構想」と訳すことができます。
システム開発において、複雑な機能や仕様を効率的に実現し、高品質なソフトウェアを短期間で提供することをサポートするのがフレームワークです。
つまり、システム開発においてよく利用される機能や設計パターンなどが事前に定義された「設計図」のようなもので、開発者が個別に設計・実装する部分を最小限に抑え、効率的で高品質な開発を可能にします。
効率的な開発
システム開発には、要件定義、設計、開発、テスト、運用といった多くの工程があり、各工程では様々な作業や方針決定などが伴います。<br>
これらの工程を円滑に進めるためには、「統一された」プロセスや手順、ルール、ツールが必要となります。
フレームワークは、これらの要素を体系化し、開発チーム全体での連携の強化、プロセスを標準化します。<br>
反復作業の自動化
フレームワークでは、認証処理、DBアクセス、バリデーションなど、多くのシステム開発で共通して必要な機能を自動化します。<br>
これにより、開発者はこれらの機能を開発する必要がなく、コア機能の実装に注力できます。
共通設計パターン
フレームワークは、MVC(Model-View-Controller)やDDD(Domain-Driven Design)などの実績のある設計パターンを採用しています。<br>
これにより、コードの可読性、品質、保守性の向上が見込めます。
標準化された開発プロセス
フレームワークは、開発プロセスを標準化することで、開発チーム全体の連携強化を行い、進捗管理やコードレビューの効率化を行います。
品質の向上
バグの削減
フレームワークは、セキュリティ対策やエラー処理など、品質向上のための機能を搭載しています。<br>
開発者は、これらの機能を個別に実装する必要がなくなり、バグの発生リスクを低減できます。
テストの効率化
フレームワークは、テストコードの自動生成や、テストフレームワークの統合をサポートすることで、テスト効率の向上が見込めます。<br>
テストの自動化を行うことで、開発初期段階から品質チェックを行い、バグの早期発見が見込めます。
拡張性、保守性の向上
フレームワークは、拡張性を考慮した設計となっており、新機能の追加や既存機能の修正が容易になります。<br>
また、標準化されたコードにより、保守性の向上、運用コスト削減が見込めます。
代表的な機能
フレームワークに含まれる機能については、フレームワークによって異なりますが、一例として以下のような機能があります。
Web機能
- テンプレートエンジン:HTMLテンプレートの動的な生成
- フォームバリデーション:ユーザの入力検証、エラー処理
- REST(Representational State Transfer):データのやり取りをシンプルで効率的にするための仕組み
- セッション管理:セッションIDの発行、管理、ユーザの識別
- HTTPS:通信の暗号化、サーバ認証によるセキュリティ強化
DB接続
- トランザクション管理:データの整合性と信頼性の担保
- O/Rマッピング(オブジェクトリレーショナルマッピング):オブジェクトとRDBのレコード紐づけ
- DBマイグレーション:DBの構造(テーブル、カラムなど)変更や変更履歴の管理
- クエリビルダー:プログラム上でのSQLクエリの動的な生成
- ホットリロード:スキーマなどに対する変更が、アプリケーションの再起動なしでDBに反映される仕組み
その他
- ロギング:アプリケーションの動作状況やエラー状況を記録する機能
- テスティング:特定のルールやツールを使って効率的にテストを実行するための仕組み
- エラーハンドリング:アプリケーションで発生する可能性のあるエラーや例外を適切に処理するための機能
- タスクスケジューリング:特定の時間や条件に基づいてタスクを自動的に実行するための機能
- DI(Dependency Injection):オブジェクト間の依存関係をコードから分離し、外部から注入する設計パターン
代表的なフレームワーク
Javascript
- React
- Vue.js
- Angular
Java
- Spring
- Apache Struts
- Jakarta EE
Python
- Django
- Flask
- FastAPI
PHP
- Laravel
- Symfony
- CakePHP
Ruby
- Ruby on Rails
- Sinatra
- Hanami
Struts2 と Spring Framework
フレームワークについて紹介するにあたり、2つのフレームワークを比較してみます。
まず、Struts2 と Spring Framework はいずれもJavaで開発されたWebアプリケーションフレームワークです。
しかしながら、同じJavaで開発されたフレームワークでもいくつかの重要な違いがあります。
アーキテクチャ
- Struts2
- MVCに特化したフレームワーク
- Spring Framework
- DI(Dependency Injection)
- AOP(Aspect Oriented Programming、アスペクト指向プログラミング)
などの機能をサポートしており、より包括的なフレームワーク
セキュリティ
Struts2、Spring Frameworkは共に過去に深刻なセキュリティ脆弱性が発見されたことがあります。
しかし、それらの脆弱性に対する対応の速さや、セキュリティ対策への継続的な取り組み、DIによる脆弱性発生リスク低減などの観点でSpring Frameworkの方が優れていると言えます。
学習コスト
Struts2
- 先に挙げたようにMVCに特化したフレームワーク
- より多機能で拡張性を備えるSpring Frameworkより学習はしやすい
Spring Framework
- コミュニティが充実
- ハンズオン学習がしやすい
- 豊富な機能による将来性が見込まれる
以上のことから、新たに学習を始めるのであればSpring Frameworkがオススメ
コミュニティの規模
Struts2
- かつて多くのプロジェクトで使われていた
- 現在は新規プロジェクトでの採用は減少
- 既存システムのメンテナンスやアップデートが多い傾向にある
- 一定のコミュニティはあるが、規模としては縮小傾向にある
Spring Framework
- Struts2からSpring Frameworkへの移行
- 新規プロジェクトへの採用率が高い傾向にある
- 公式フォーラムやGitHubリポジトリ、Stack Overflowでの質問や回答が活発
以上のことからSpring Frameworkの方が活発なコミュニティを形成していると言える
さいごに

今回は「フレームワークとは」という概要について解説しました。
フレームワークはシステム開発を効率化し、高品質なソフトウェアを提供するために有用なツールです。
初心者でも開発を効率的に進める助けになりますので、何か一つでも自分の得意となるよう学んでみてはいかがでしょうか。
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