プログラミングの学習を進める上で、数多くの専門用語を理解することは避けて通れません。本記事では、オブジェクト指向プログラミングを学ぶにあたって理解しておきたい「クラス」という概念について、Javaでの使い方を例に解説します。
「クラスとは何か」「プログラミングにおいてどんな役割があるのか」「なぜクラスに分ける必要があるのか」といった、プログラミング初学者が抱きやすい疑問を解説していきます。
クラスとは
クラスの最大の役割は、システムを構成する部品の「設計図」になることです。
この設計図の中に、その部品が「どのような状態・データ」であるかという「属性」を持ち、「どのような振る舞い」をするかという「メソッド」を定義します。
【車のクラスの例】
「車」というクラスを定義する場合、「属性」、「メソッド」は以下のようになります。
属性(状態・データ)
車種、総走行距離、燃費、ボディカラーなど
メソッド(振る舞い)
前進する、後退する、停止するなど
実際のプログラミングでは、この「車」クラスだけでなく、「信号」クラスや「歩行者」クラスといった様々な部品を作ります。
それらの部品がお互いに連携し合う(=信号が赤になれば、車が停止する)ことで、「交通」というひとつの大きなシステムが動く仕組みになっています。
クラスの使い方
クラスはあくまで設計図であるため、そのままでは動作しません。
設計図をもとに、実際にプログラム内で動作する実体(オブジェクト、またはインスタンス)を生成する必要があります。
クラスの定義
まず、属性と動作を持つクラスを作成します。
public class Profile {
// フィールド(属性・データ)
String name;
// コンストラクタ(初期化:実体が作られるときに最初に実行される準備処理)
public Profile(String name) {
this.name = name;
}
// メソッド(動作・振る舞い)
public void introduction() {
System.out.println("My name is " + name);
}
}
オブジェクトの生成
クラスを定義した後、その設計図(ここでは上記のProfileクラス)を基に、実体となるオブジェクトを生成して処理を実行します。
次のコードの4行目のように、「定義したクラス(設計図)から、オブジェクト(実体)を生成して処理を行う」のが基本手順となります。
public class Main {
public static void main(String[] args) {
// オブジェクトの生成(newを使って「型」から「実体」を生み出す)
Profile myName = new Profile("Media Taro");
// メソッドの呼び出し(生み出した実体に「自己紹介して」と命令する)
myName.introduction();
}
}
実行結果
My name is Media Taro
システムをクラスで分割する理由
小規模なプログラムであれば、1つのファイルにすべての処理を記述することも可能です。むしろ初学者にとっては、その方が簡単に見えるかもしれません。
しかし、実務的なシステム開発においてクラス分割が「必須」とされるのには、現場で役立つ明確なメリットがあるからです。
クラス分割によるメリット
チームで分業しやすくなる
もし1つの巨大なファイルに複数人でコードを書こうとすると、「Aさんが編集している間はBさんが作業できない」、「誰かが書いたコードを別の人が誤って消してしまった」といった問題が発生します。
しかしクラス(部品)ごとにファイルが分かれていれば、「Aさんはエンジンクラス」「Bさんはブレーキクラス」と、それぞれの作業範囲に集中して同時に開発を進められます。
バグの原因を見つけやすく、安全に直せる
車を構成するすべてのプログラムが1万行の巨大なファイルに書かれてしまうと、「車が動かない」というトラブルが起きたとき、どこに原因があるのか探すのは至難の業です。
しかしクラスに分割し、「エンジン」「バッテリー」「ブレーキ」と部品ごとにクラスが分割されていれば、「まずはエンジンクラスから確認」とバグを探す範囲をグッと絞り込むことができます。また各部品が切り離されているため、修正時の他の部品への影響(連鎖的なバグ)も防げます。
同じコードを使い回せる
基準となる「車」の機能の作成後に新しく「トラック」の機能を作る際、また1から「走る」「止まる」といった基本的な仕組みを作るのは時間の無駄です。
オブジェクト指向には、すでに完成しているクラスの設計図を丸ごと引き継ぐ仕組みがあります。
この仕組みを活用することで、車クラスの実装を引き継いだ上で「荷台に荷物を積む」といったトラック特有の機能だけを追加するだけで済むため、開発のスピードが劇的に上がります。
後からの「仕様変更」に強くなる
システム開発に「機能の追加」はつきものです。例えば、後から新しく「電気自動車」を追加することになったとします。
クラスを分けていない場合、コードのあちこちに「もしガソリン車ならエンジンを動かす、もし電気自動車ならモーターを回す...」という条件分岐が必要になってしまいます。
しかし、クラスを使えば、メインのシステムは「各車に対して『走れ』と命令する」というシンプルな作りのままにしておき、ガソリンで走るか電気で走るか等の細かい動きはそれぞれのクラスの中で実装することができるようになります。
クラス分割によるデメリット
一方でデメリットも存在します。最大の課題は「過剰な分割による管理の複雑化」です。
単純な機能しかない小さなシステムでクラスを細かく分けすぎると、クラス間の関係性が複雑化し、かえって「どこで何をしているのか」が読み取りづらくなります。
冗長な設計を防ぐには一定の経験や設計スキルが要求されます。
おわりに

クラスやオブジェクト指向の概念は、一度で完全に理解するのは難しいかもしれません。
しかし、現在主流のシステムの多くがこの考え方に基づいて構築されているため、基本となる構造を理解しておくことは非常に重要です。
当サイトでは、オブジェクト指向の代表的な言語であるJavaプログラミングについての記事も配信しています。プログラミング学習の際はぜひご参考ください。